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2022/10/15
地質学研究室  HP設置

主要研究分野

地質学:層序学・古生物学

研究の進め方

日本の歴史が分かるのは,誰かが記録した古文書が残されているからに他なりません.それでは,古文書の残されていない遥か遠い昔の地球史(地球の歴史)はどのようにして調べるのでしょうか? 実は,岩石や地層に残された様々な記録を解読することによって,地球環境や生命の歴史は組み立てられているのです.その岩石や地層を手に入れるため,険しい山地に分け入ったり,大海原に乗り出したりします.広大かつ長大な時空間の視点で地球史を理解することは,現代社会が抱える環境・エネルギー・資源・災害などの課題を解決するだけではなく,人類が歩むべき道を考える上で不可欠です.

研究テーマ例

・新生代における高時間精度の微化石層序(年代尺度)の確立

陸上に露出している地層を調査して,「大地の成り立ちと変化」を解明するには,地層の地質年代を推定することが必須です.顕微鏡でやっと認められるような微化石は,恐竜やアンモナイトに比べて目立たない存在ですが,地層に含まれる数は圧倒的に多く,地層の地質年代を推定する上で重要な役割を果たしています.これまで,時計の役割を果たす微化石年代表の精度を上げることを目的として,太平洋,大西洋およびインド洋の深海堆積物から採集した微化石の種類を調査し,出現年代と絶滅年代を明らかにしてきました.新生代の地層の地質年代を高い時間精度で推定することが可能となったことで,地下資源探査などに応用されることが期待されます.

・新第三紀における北太平洋亜寒帯循環の変遷史

深海底堆積物に豊富に含まれる微化石は,それらが生息していた時代の海洋環境を克明に記録しています.そこで北太平洋高緯度(明確な亜寒帯循環が存在する唯一の海洋)の深海底堆積物から採集した微化石を詳細に調査した結果,今から1100万年前に亜寒帯循環が形成され,250万年前以降に亜寒帯循環の一部を成す親潮が三陸沖まで到達するほど発達するようになった事が明らかになりました.この変遷は日本列島を含む東アジアの気候変動および生物の進化に大きな影響を与えてきた可能性があります.

・青森県津軽半島に分布する磯松層の地質と年代

日本海拡大期における青森県津軽地域に分布する磯松層から産出したカキ化石のストロンチウム同位体比を測定した結果,磯松層は今から約2000万年前に堆積した地層であることが明らかになりました.これは従来考えられていた年代より300万年も古い結果です.この事実は,磯松層が日本海側の新第三系の中で最も古い,軟体動物化石群を含む海成層であることを意味しています.日本海北部の海底が拡大したことにより,北海道と東北地方をつなぐ陸地が沈降して(古津軽海峡の形成),太平洋側から日本海側へ海水が侵入し,それに伴い軟体動物群が日本海へ移入したと考えられます.日本海固有の生物相の形成過程を解明する上でも重要な知見です.

ゼミの日時

前期:毎週木曜4・5限

後期:毎週木曜2・5限

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茨城大学教育学部理科教育教室